2026/02/20

「地下」という語から何を想起なさいますでしょうか? 地下鉄・地下街などを思い浮かべるのは都会の方でしょう。ワラビ・ジャガイモなどの地下茎のある植物を思い起こすのは農業に詳しい人かもしれません。「地下」を辞書で引くと、まず<地の下・土中>と出ていて、これは当然ですが、その他に<死後の世界>とあります。昔の人は、死ぬと地下の世界へ行くと考えた名残でしょうか。そう言えば、冥界も黄泉もよみの国も、地下の世界ですね。
さて、仏教的に「地下」を説明すれば、<地獄・餓鬼・畜生・修羅の住所>となります。世界の基盤を構成している金輪・水輪・風輪の三輪を総称して地下とも言いますが、前者の解釈が一般的です。なお「地下」の仏教読みは呉音読みの<ジゲ>となります。
平安貴族の間では、仏教の影響か、常に天皇がおられる清涼殿に昇る資格のない公家を、地下の公卿などと呼んでいたようです。
仏教で言うところの地下は、人間界よりも下に位置するものというところからきていますが、そこには神力をもつた竜神・阿修羅・閻魔のような地下天も住んでいます。さらには、地下に住まう者も永久にそこに留まるわけではなく、仏さまの慈悲と自らの覚悟によって天上界にも、あるいはそれより上の世界にも生まれ変わることができます。ですから仏教の世界観では、天上も人間 界も地下も共に大切なところなのです。
私はこんな風に考えてみました。植物は地に根を張ってから天に向かう。私たちも、まず根の国とも言われる地下の国へ行き、そこからあらためて天の国へ向かう方がよいのではないのか? 人生においても先に苦労しておいたほうが、あとで楽になったときにしっかりと楽しめますものね。 自隠禅師は「南無地獄大菩薩」との言葉を残されました。借金に苦しんでいたある人が、この言葉に救われて立ち直ったという話も伝わっております。 地下の世界はどんな世界か? そんな風に想像して仏さまの教えを顧みるのも大切なことだと思います。

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