2023/08/25
よくバーゲンセールなどがあると我れ先にと人混みをかき分け、自分の欲しいものを何とかして手にする姿を目にすることがあります。こういう光景はテレビでも見受けられることですが、第三者としてみるとそんなに必死の形相しなくてもとおもいますが・・・。
そんな時よく「我利我利亡者」という説話を思い出します。一人の男が地獄と極楽を見学に出かけた話です。この男は最初に地獄へと出かけます。そこはちょうど昼食の時間でした。食卓の両側には痩せ細った罪人たちが、ずらりと並び、地獄なのに豪華な料理が山盛りにならんでいます。よく見ると、彼らは1メートル以上ある非常に長い箸を持っていました。罪人たちは、その長い箸を必死に動かして、ご馳走を自分の口へ入れようとしますが、とても入りません。イライラして、怒りだす者もいれば、隣の人が箸でつまんだ料理を奪おうとして、醜い争いが始まってしまいます。
次に、男は極楽へ向かいます。夕食の時間で、ふくよかな極楽の人たちが食卓に仲良く座っています。料理は地獄と同じで豪華です。ふと箸に目をやると、それは地獄と同じように1メートル以上もあるのです。男は同じ箸を持ちながら、地獄と極楽の違いに疑問を感じます。夕食が始まるのをじっと見ていると、極楽の住人は、長い箸でご馳走をはさむと「どうぞ」と言って、自分の向こう側の人に食べさせ始めたのです。にっこりほほ笑む相手は、「ありがとうございました。今度は、お返ししますよ」と、自分にも食べさせてくれました。男は、「なるほど」と心がけの違いに感心します。地獄も極楽も、状況は全く同じで違いはただ一つ。相手を思いやる心があるかないかだけなのですね。
誰でも自分さえ良ければ良いという思いになりがちです。自分の利益のみを求める「我利我利亡者」にならないように気をつけて過ごしましよう。まずは周りを思いやる見護る精神を保つことです。その為に心のなかにお題目を。
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