2024/02/02
昨今、人の延命治療が取り沙汰されております。樹木の延命から内閣の延命まで、延命策を講ぜられているものは多くありますが、延命効果となると、どんなものでしょうか。
このように使われている「延命」という語も仏教語ですね。もっとも経典中にある延命は、すべて善い事にのみ使われております。延命は、仏さまの大切な仕事であるとも申せましよう。
宗派は異なりますが『延命十句観音経』とか『延命地蔵菩薩経』というお経があり、延命観音と言えば三十三観音のーで、呪詛や毒薬の害を除き、寿命を延ばす功徳のある観音さまのことです。
また延命地蔵と言えば、お地蔵さまの数々の本願のうち、特に延命の功徳を強調した呼称です。このお地蔵さまは、新たに生まれた子供の命を守り、短命や夭折の難を免れさせてくださいます。お地蔵様の取子にあげて我が子の生命や健康を守ることは、有り難い親心ではないでしょうか。地蔵菩薩はこのようなはたらきから、延命菩薩とも呼ばれておりますが、普賢菩薩も延命菩薩と呼ばれることのあることを付け加えておきたいと思います。「延命法」という修法が密教に伝えられておりまして、この時は延命の徳と智慧の徳をそなえた普賢菩薩が本尊として請されます。金剛寿命陀羅尼にもとづいた修法で、寿命を延ばすばかりでなく、福徳、財宝を増し、聡明な子供を産みたいという祈願を修する法です。
このように「延命」と言えば、これら仏さまの専売特許でしたが、今は医術が発達して、人が人の延命に携わる時代を迎えました。でも、人間が延命に手を出してから、延命がおかしな意味でも用いられるようになったようです。仏さまの延命は「抜苦与楽」になりますが、医師のする延命は「抜楽与苦」にもなりかねません。「延命治療お断り」を遺言として、死に向かう老人が増えるのは当然でしょう。
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