2024/02/09
人生の節目のうち、出生、結婚、死亡の三つが何といっても重大であり、三大行事として盛大な式典が行われてきました。そして、この儀式に着用される服装は、きまって白装束でした。
赤ちやんが生まれた時は母子ともに白い服装をし、何日か後に色つきの着物に着替えたという習俗があります。婚礼でも初めは白無垢の衣装で、式後に色つきの着物に着替えたのです。江戸時代頃までは新郎も新婦も白無垢を着たのですが、近世以後は花嫁だけがお色直しをして、新郎は白装束を着けないことが多くなったようです。
お葬式でも、死者はもちろん近親者まで白装束をしてきたという習俗は、少し年配者ならご経験の方も多いでしょう。昔の喪服とは白装束であり、喪が明けてはじめて平常の衣服に着替えたということです。
これらの習俗は、坊さんのやり方に習ったと考えられます。つまり、得度式という坊さんになる儀式では、必ず白衣で出てきて、受戒し、剃髪された後に墨染の衲に着替えます。坊さんの衲の色は、もちろん黒ばかりではありません。坊さんとしての位が上がりますと色衣(呉音ではしきえ)という色つきの衣を着ることができます。
さらに位が上がって最高位になると、紫、緋、どの特別の色の衣を着ることができますが、許可がなければ着れませんでした。特に紫衣は厳しかったようです。昔、天子諸侯のみが着た色だったからかもしれません。日本で初めて紫の袈裟を着たのは、奈良時代の法相宗の僧であった玄昉であり、紫の衣を着たのは平安時代の天台宗の僧、行玄だそうです。
義式にあたり、今までの色を直して特別な色の法衣に着替えることから、これを「お色直し」と言ってきましたが、これが一般の習俗に広まり、白い着物を色物に替えることや、更に別の衣服に着替えることを「お色直し」と隊するようになったんですね。お色直しによって気持も整理され、心のステージが高められれば幸いです。
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