2024/04/12
「隠密に事を運ぶ」とか「隠密行動」などと使われている「隠密」について調べてみたいと思います。テレビで時代劇をみておりますと、隠密なる者が出てきますね。この隠密の仕事は、将軍や大名など身分の高い人の命を受けて、諸国や市中の動静を探ることのようです。こういった隠密は、古くは南北朝時代から居たようですが、江戸時代に入ってから身分として制度化されました。隠密は忍者ではありませんから、忍術を使ったり人殺しをしたりしません。英語で言うspyとも違います。「人に知られないように……する」だけです。この隠密の元祖は大日如来さまでしょう。大日如来の「隠密」がこの語の元になったと考えられるからです。ただし、大日如来における「隠密」の 意味は、「言語で説明しても解らないことは、最初から裏面に隠して秘密にしておこう」というものでした。仏法は大変に奥が深いものですから、言葉ではとても伝わらない奥義があります。お釈迦さまは人間の言語で仏法を説いて、四諦や八正道をはじめとする 教えを残されました。言語上にハツキリ顕かにされている教えですから、これを「顕教」といいます。それに対して、言語以外のもので説かれている教えが「密教」です。大日如来は、この密教部分をつかさどる仏とされ、真言秘密の法によって私たちに仏法を説いてくださいます。仏法全体を究明するには、「顕」ばかりでなく隠れた「密」の部分までやらなければならないでしょう。仏さまは、「隠顕」の両方を利益し、同じく種智を円にしてくださいます。これをパソコンに喩えれば、画面の裏に更に画面があり、仏さまはどの画面をもよく承知されながら、私たちにいま必要な画面を出してくださっている・・・ということになりましょうか。 私たちも、いま見えている画面だけに気を取られず、裏に隠れている画面も あることを常に覚えて いたいものです。
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