十五夜にげんをかつぐ

2024/09/13

力士の中には、髭を剃らないなど「げんをかつぐ」人が多いようですし、一般的にも「げんの良し悪し」を気にする人が結構おられるようですね。今ではこのげんに「験」の字をあてていますが、これは縁起の倒語で、「えんぎ」が「ぎえん」となり「げん」に縮まったのだそうです。
 ということになれば、げんが良いのは縁起が良いこと、げんをかつぐのは縁起をかつぐこととなつて、縁起もげんも同じこととなりそうですが、そこはまた倒語の効果というものがあります。
  話のタネと言わずに話のネタと言った方が意味が強まるように、縁起より験の方が、それなりの倒置の効果が出ているというものでしょう。しかし、何でも到さにすればよいというものではありません。木材と材木では違うものを指してしまうようですから気をつけたいものです。
 ところで、「験」とは本来、ある行為を積み重ねたことによる効果のことで、修行を積んだあとに得られる不思議な結果を言いました。
 そこで、上に「霊」を付けて「霊験」と言えば、神仏が示す不思議な験、つまり神仏による不思議な縁起を指しました。「霊験あらたか」な神仏であれば、それなりに私たちによい縁起たる御利益を授けてくれるというものでしょう。それを当て込んで私たちは祈願しているわけですが、験にはもう一つ「真如と合致する」という条件があることを忘れてはいけません。
 「真如」とは、この世のあらゆる存在を斯く在らしめている「あるがままの 真実」のことです。この世は私という個人の都合で勝手に動かせるものではありません。個人のバラバラな思惑で動いたらパニックが起きるだけです。
 真如と一体となり、自分が真如の一部であることを理解してこそ、本当の自分を生かせるというものでしょう。天地自然の真理にかなう生き方をすることです。

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