2025/07/01
私たちには、「睡眠」が仏教でいうところの煩悩の一つだという認識はあまりありませんが、実は睡眠こそは、あらゆる機会にお釈迦様が戒められた要注意の煩悩なんですね。仏教的に言えば、「睡」は意識がハッキリせず、刺激に対して反応がない状態、「眠」は眼耳鼻舌身という外界をとらえる五情がはたらかない状態を指します。
そんな状態ではとても覚ることなどできませんので、「睡眠」は五欲の一つ や五蓋の一つ、あるいは不定地法の一つに数えられるなど、いたるところで戒められているのは当然でしょう。
私たちは生きているのですから、生き生きとして生きてゆかなければなりません。眠ったような生き方では困りますね。遺経に「睡眠の因縁を以て一生空しく過して所得なからしむることなかれ、無常の火の諸の世間を焼くことを念じて早く自度を求むべし」とあります。
とはいえ、お釈迦様は決して「眠るな」とおつしやっているのではありません。「睡蛇すでに出でなば乃ち安眠すべし、出でざるに而も眠るは是れ無慙の人なり」とおっしやっています。眠くてどうしょうもなくなったら眠りなさい。そして目覚めたら、意識や五情をハッキリさせて励みなさい、というわけでしょう。私たち凡人には睡眠等の五欲をむさぼり、睡眠等の五蓋に心をおおわれて、何かにつけ、怠けよう怠けようとするくせがあります。心をしっかりと持って修行したいものですね。
ところで、「夜眠れないで困る」と不眠症を訴える人に出会うことがあります。そういった人は、心や体が眠りを欲していないのに無理に眠ろうとしているのではないでしょうか。昼間は努めて精進し、身心を充分に疲れさせておけば睡蛇がすでに出て安眠できるでしょう。身心が要求する必要にして充分な 睡眠をとるようにしたいものです。
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