呉音で読む

2025/07/18

精気・精魂・精勤・精舎
 これらの語はそれぞれ<セイキ><セイコン><セイキン><ショウジャ>と読むのが普通ですね。でも仏教読みでは、<ショウゲ><ショウコン><ショウ ゴン><ショウジャ>と読んできました。仏教語は呉音で読まれることが多いからです。そして、仏教語が一般語になると読み方も呉音から漢音に変わる場合が多いようです。もちろん、呉音のまま一般語となった例も数知れません。
 たとえば正月・二月・六月なども、これを漢音で読めば、<セイゲツ><ジゲツ><リクゲツ>となりますが、そうは読んでいませんね。呉漢混音というのもあります。精霊を<セイレイ>と読めば漢音、<ショウリヨウ>と読めば呉音ですが、<ショウレイ>と読むと呉漢混音になります。
 さて、「精気」とは万物を生成する天地の気であり、衆生を元気づけるものを指します。「精魂一は人の精気であり、その精魂を傾けて勤め励むことが「精勤」です。また、そのように毎日修行して過ごす僧侶の住まいを「精舎」と言いました。ちなみに、精舎を漢音で<セイシャ>と読むと道教の寺院を指し、<ショウジャ>と呉音で読むと仏教の寺院を指すこともありました。
 このような読み方による区別は、生活の知恵というものでしょう。仏教の精舎はインド語のビハーラに相当し、知徳精錬の行者の住する舎宅ということです。また最近では、ビハーラはホスピスに対応する言葉として使われるようになりました。末期医療病棟を、キリスト教ではホスピス、仏教ではビハーラ、行政では緩和ケア病棟などと呼ぶようになっているのは、それぞれの所属を鮮 明にしたいためかもしれません。
 それはとにかく、せっかく戴いた生命ですから、一日たりとも無為に過ごさないよう、精気はつらつ・精魂込めて・精勤相務め、有意義な日送りをすることにいたしましょう。健康な身体をしている時であろうと、病気や怪我をしている時であろうと、残された生涯をカウントダウンしている時であろうと、同じだと思います。

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