子を産むこと

2025/07/25

生産・安産・遠慮
 父母恩重経の一節。父に慈恩あり、母に悲恩あり、そのゆえは、人の此の世に生まるるは宿業 を因として、父母を縁とせり。悲母の子を念うこと世間に比いあること無く、その恩未形に及べり。始め胎を受けしより十月を経るの間、行住坐臥ともに、もろもろの苦悩を受く、苦悩休む時無きが故に、常に好める飲食衣服を得るも、愛欲の念を生ぜず、唯一心に安く生産せんことを念う。
 父母恩重経はこのようにして、父母がどのような思いで子を育てたかを 諄々と説き、「孝」の大切さを教えるお経です。
 さて、この中に「生産」とあるのは子を産むことであり、「安く生産せんこと」とは、つまり苦悩少なくして産むことH安産を指しています。子は産ん だだけでは育ちません。お経にもこのあと「母にあらざれば育てられず・・・」と続き、「父母の恩重きこと、天の極り無きが如し」として、父母に次の十種の恩徳があることを教えております。
一には懐胎守護の恩 二には臨生受苦の恩 三には生子忘憂の恩 四には乳哺養育の恩 五には廻乾就湿の恩 六には洗灌不浄の恩 七には嚥苦吐甘の恩 八には為造悪業の恩、九には遠行憶念の恩、十には究竟憐愍の恩
 詳しくはお経に出ておりますので読んでみてください。とにかく、子たる者はこの恩に報いなければなりません。五戒を守り、三宝を敬い、父母にもこれを実行させ、「深く思い遠く慮りて、以て孝養軽重の緩急を知らざるべからざるなり、凡そ是等を父母の恩に報ゆるの事となす」と結んでいます。「遠慮する」とは、今では<人に対してひかえめにする>意味 に使われますが、「深く思い遠く慮る」のが本当の遠慮です。生み育ててくれ た両親に手を合わせ、両親ともども五戒(不殺生・不倫盗・不邪淫・不安語・不飲酒)を守る生活をしてゆく事が大切です。「戒を名付けて孝とす」と言います。要するに親を苦しめ悩ませないことです。

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