2025/11/28

桃太郎の鬼退治についてお話しいたしましょう・・・。と申し上げますと 「なあんだ、それなら知ってるよ」ということになろかうと思います。たしかに、日本五大昔話の一つであり室町時代から語り継がれてきたというこの話のあらすじを知らぬ人などありますまい。
ところで鬼退治をするに当って、桃太郎はどうして猿と雉子(きじ)と犬をお供にしたのでしょうか?あるいは退治された鬼って本当にいたのでしょうか? さらには、「退治」とはどうすることで、鬼がくれた宝物って何だったのか? このように考えてみたことはありませんか。では、ここでその疑問の一つ一つについて考えてみましょう。
まず、猿・雉・犬についてですが、それらの動物はそれぞれ「智慧」「仁愛」「勇気」を象徴させたものであり、 鬼とは、 鬼が島ならぬ心の中から出て来て悪さをする「煩悩」を表したものなのです。また「退治」の語については、昔は「対治」と書き、煩悩を断ずる意の仏教語でした。対治の手順は
①煩悩を除こうと思い ②実際にそれを断ち切り ③断じた状態を維持し ④遂には全く遠ざけてしまう・・・となります。
この手順は、お医者さんが病気をなおす手順と変わりませんね。それもその筈です。仏法とは煩悩という病気をなおす妙薬であり、これを服することによって智慧と愛情と何ものにも負けぬカが身につき、煩悩という鬼を退治できる教えだからです。
さて最後に鬼がくれた宝物についてですが、これはもちろん、煩悩を退治したあとの「心の平和」という宝物のことです。常に仏法僧の三宝に囲まれ、おじいさんやおばあさん(先祖のことですね)の期待に沿った生き方ができれば、これこそ本当の桃太郎だといえるのではないでしょうか。
そして 自分の、心に住む鬼を退治するばかりでなく、他人の心に住む鬼まで 退治してあげられれば、真の自利利他の覚行を実践する菩薩行となります。

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