地域に密着する寺院

2021/05/05

お布施や教義など寺院の活動や目的を知ってもらうには、葬儀からでは遅い。もっと早い段階から寺院との接触が必要である。
 実は、平成18 年に教育基本法が戦後約60 年ぶりに改正され、「宗教に関する一般教養」が追加された。宗教に関する一般教養が本格的に始まるのは中学生からであるが、小学生の3 年生から始まる社会の授業でも寺院と接する機会がある。学校のまわりの古い建物を調べる学習に寺院も含まれるようになったのである。
 そのため、地元の子供が近くの神社・仏閣の歴史や由来など、細かく調べたりするのである。また、中学生においては、地域の文化財や文化を調べるために寺院を訪れたり、職業体験で寺院を訪れたりする。
 教育基本法の理念は「公共の精神を尊び、国家・社会の形成に主体的に参画する国民」としており、実際に体験することが求められている。 そして、別の理念の「我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人」にも注目する必要がある。グローバル化した現代では、国際社会に出て行く人材は自国の宗教や文化はもちろん、他国の宗教も理解する必要があるのである。
 サッカーのドイツワールドカップで引退した中田英寿氏が「世界中を旅していたとき、その国の文化、人の考え方を理解したいと思ったら、まずは戦争の歴史、そして、宗教の歴史を学ばなければならないと知った。特に宗教はその国の食べ物から建物、生活習慣にまで大きく影響を及ぼしている。世界を旅すればするほど、宗教の存在、考え方に興味が沸いてきた。」(週刊アエラ2010.5.3-10 より)と述べていた。地元の宗教や自国の宗教、そして、他国の宗教知識が求められている中で、地元の寺院の文化や宗教、そして、自国の宗教や文化を継承している寺院が果たす役割は大きい。
 そして、教育基本法の理念の「主体的に参画する国民」には「近隣住民間連帯感希薄化」や「社会性の低下」に対する対策も含まれており、地域教育や近隣住民の連帯強化が望まれている。
 昔の寺院は地域コミュニティーの中核であった。そして、地域教育としての幼稚園や保育園や学校などの公益事業を行っている寺院も多く、地元住民の連携の中核になれるチャンスは多いと思われる。
 地域教育や公教育において、寺院が担えることが増加している。コロナ禍のなかで難しいことは事実ではあるが、寺院自ら積極的な提案や活動が肝要であろう。

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