布施とは

2021/05/20

布施(ふせ)とは仏教が成立した2500 年ほど前のインドの言語です。梵語(サンスクリット語)では「檀那(ダーナ)」といい、慈しみの心をもって他人に財物などを施すことを指します。
 布施には「財施」(金銭・衣服・食料などの財を施すこと)「法施」(仏の教えを説くこと)「無畏施」(災難などにあっている人に寄り添い、不安を取り除くこと)の三種があり、布施行という悟りを開くための修行の一つで「六波羅蜜」にも挙げられているように仏教の根幹的な実践行でもあります。
 葬儀におけるお布施については、地域共同体を中心とした寺と檀家との関係、信仰の中で自ずと共有できる仕組みがあったように思われます。金額についても布施をされる方の慈しみの心にもとづくもので、商品と同じように定価とすべきものでなく、その方の信仰にもとづく宗教的な行為です。布施をされる方がそれぞれのできる範囲で施すもので、その金額に高い、安いはないと考えます。その方の地域や寺院との関係、経済的状況を反映するものと思われます。
 しかし、現在では社会構造の変化に伴う人口の流動化により寺と檀信徒との関係性が希薄化し、菩提寺を持たない、日頃寺院とおつきあいの無い方々が増えました。葬儀の場においても伝統の継承や経験の共有が難しくなり、今日の問題を招く原因となっております。
 このような現状に対して寺院からの働きかけが必ずしも充分とは言えず、葬儀に関わる会社等が僧侶を紹介する事例も多く、お布施は葬儀や法事に対する宗教的なサービスの対価として受容されていく傾向にあります。
 ただ、一つ重要なことは、仏教では人生を「生老えます」。
 どのように死を迎えるか、を考える事は、転じてどのように生きるかを考える事でもあります。日ごろの生活の中でどのように死を迎えるかをご家族やパートナー、寺院と相談され、相互理解の下に「老い」「死」「終末期ケア」「葬儀」などのことを話し合い、意志決定をしておくことをお勧めいたします。お布施もその中のひとつのプロセスであり、切り離して考えるのは難しいのでは、と考えられます。

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