小欲知足

2018/10/16

 この四文字を、何と読みますか。ある人は{京都見物にでかけて、足が痛くなっただけなのを知った}と、笑うに笑えない話しもありますが、一般には{われはただ足るを知る}または{欲は少なく足(た)ることを知る}と解します。足るというのは、満足という意味です。
 読むことはできても、言葉の本当の意味を知ることは、大変むずかしいことです。あまり欲ばらないで、満足することを知れというのである。今日、これをいうと笑ってしまう人が多い。物を生産し、物を豊かに消費することが幸せという人生観がはびこってしまった証拠である。
 しかし、日ごと、マスコミで報ぜられる地球温暖化現象一つを真面目に考えるだけでも、もはや消費文化に幸福を見出すという考え方は成り立たないとはっきり知ることができる。
 このまま、地球の温暖化、オゾン層の破壊を続けてゆけば、近い将来、地球的規模で洪水、渇水、暴風雨などの自然災害がおこり、食料不足、居住地の放棄など人類は大変な事態に追い込まれるであろうとIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は警告する。
 現代文明は生産を中心に考える文明であるが、その考え方の基準に自然征服は善であるという考え方である。このような考え方が、人類の欲望の全面解放を善とみる思想を生み出した。いま、われわれにとって最も重要なことは、このような科学技術文明の根幹の思想にメスを加えなければならぬということである。欲望というものは、満たせば必ず次の欲望を生む。
 お釈迦さんは、これが迷いの人間の変わることのない在り方だと指摘されました。この果てし無い欲望をどうやって自身でうまく決着をつけてゆくのか。
 まわりを見渡しても欲に満たされずに迷っている輩が後を絶たないのが現状ではないだろうか。一時マスコミで問題になった株の問題などはその最たるものだろう。高級ブランドで着飾る欲望等々。お経には欲望を満たすのがいけないとは申されていない。
欲望というものは、絶えず危険性を伴うものであることを知り、その制御を学びなさいといっているのである。赤塚不二夫さんの「これでいいのだ」これを常に保ち続ける事が「足を知る」ことの入り口であり、境地でもある。

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