2023/12/08
皆さまは「嘘も方便」という言葉を聞いたことがおありでしょう。自分の立場を防護するために口から出まかせを言って、「嘘も方便だ」などと言っている人がありますが、実はとんでもないことなのです。仏戒仏の戒めの一つに「不妄語戒」というのがあって、絶対に嘘をついてはいけません。嘘をつくと、死んでから閻魔さまに舌をぬかれでしまうとされています。しかし、この世の中には本当のことだからといって、いきなりそれを話しても、かえってマイナスになることもあります。昔、ある人の家が火事になりました。子供たちが家の中で遊んでおりましたが、この火事に気がつきません。お父さんが大声で、「火事だから逃げなさい」と叫びましたが、子供たちには何のことかわかりません。火の中で遊び続ける子供の安否を気づかう父は、「ここに珍しい車があるよ」と叫びました。子供たちは「車」と聞いて勇みたち、火の家から飛び出して何とか災いから免れることができました。もちろん、外に車などありません。父は嘘をつきました。皆さまは、この話を聞いてどうお感じになりますか。そうです。父は嘘はつきましたが、子供たちを救いました。相手を助ける嘘は嘘であって、しかも嘘ではありません。これを方便と言います。
このように、方便とは正しくは「衆生を真実の教えに導く為に、一時の手立てとして説かれた教え」のことであります。私たちに嘘をつくことは絶対許されませんが、方便なら良いのです。これを「嘘も方便」と言うのです。嘘をつきそうになつたら、それが自分をカバーするためなのか、人さまを助けるためなのかを見究めましよう。方便にならぬ嘘をつくのは、やはりいけないことだと判るでしょう。
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