2024/01/01
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申しあげます。
さて、年賀状など、季節の挨拶を交わすための葉書は便利なものですが、さて、この「葉書」という語はどこからきているかご存知ですか。葉書のルーツは、古代インドで木の葉に文字を書いたことに遡ります。インドには多羅樹(ターラー)という大きな葉を持つ木があります。この葉に傷をつけて文字を書きつけると、黒変してそのまま保存できるのだそうです。古代インド人はこの葉を適当に切り揃え、鉄筆や竹筆で経文を彫り、それを重ねて両端を挟み、さらに縄で結んで経典としました。紙でなく樹葉を用いて書写するなんて、何だかすてきではありませんか。
多羅樹は高さが七十尺(約2メートル)にもなり、白い花をつけ、その実は柘榴(ざくろ)のようだといいます。その棕櫚(しゆろ)にも似た巨大な葉の一枚は、巾二〜三寸(6~9センチ)、長さ一尺五寸(45センチ)ほどですから、まことにうってつけの書写材料だったのですね。その葉を切り揃えたものは特別に貝(ばい)多羅(たら)葉(よう)、略して貝葉と名づけられ、経典を書写する梵篋(ぼんきよう)として大切にされてまいりました。しかし、紙が普及するようになってからは経典にも紙が使われ、やがて梵筐は作られなくなりました。
この貝多羅葉にヒントを得た前島(まえしま)密(ひそか)(郵便の父と称される明治の偉人)が郵便物の一つにはがきと名づけたことはあまり知られていないようです。その前島密の生誕地である新潟県の上越は、貝多羅葉の性質を引く木、すなわち、その葉に字の書けるモチノ木科の常緑樹タラヨウの北限とされているのも何かの因縁でしょうか。そこで、掌より少し小さいこのタラヨウ葉の裏に、傷をつけて文字を書き、防湿・防腐効果のある青竹の筒に入れて相手に送る・・・そんなアイデアを地元の人が思いついたそうですが、文字通りの葉書を受けとったら、さぞ嬉しいことでしょうね。いずれにしても、「葉書」は心を伝えるゆかしい郵便物です。はがきを書くときや頂いたときには、こんな葉書のルーツを思い起こすのも、また一興でしょう。
お問い合わせやご質問等についてはこちらよりお願いいたします。
また、毎月の鬼子母神講(毎月8日 午後7時)や七面さま講(毎月18時 午後2時~)へのご参加も
心よりお待ちしております。
日蓮宗 妙栄山 法典寺
〒418-0023 静岡県富士宮市山本371-1
Tel.0544-66-8800
Fax.0544-66-8550