報恩

2024/05/03

「恩がえし」とか「報恩」などと言うと、そんなのは古くさい考え方だなどと仰る人も少なくないでしょう。でも、この報恩の部分を人間から取り去ってしまつたら、他の動物達と同じになってしまいます。いや、鶴だって亀だって雀だって、恩がえしをした話があるではありませんか。報恩こそ人間の人間らしい行いと申せましょう。仏教では単に仏祖への報恩行を説くばかりでなく、四種の恩をあげ、四恩の総てに報ずることはもちろん、生きとし生けるものを資けることを説きます。四恩の挙げ方は経典によって多少異なりますが、一般には大乗本生心地観経の①父母恩②衆生恩 ③国王恩 ④三宝恩を採っております。まず「父母恩」ですが、これは自分を養育してくださった父母の恩ですね。この恩は、どんな四恩の数え方にも必ず入っている恩ですから、それだけ大切で忘れることのできない恩と申せましょう。また、報恩田(略して恩田)という言葉がありますが、報恩田の場合は養育?教育をしてくださった人が恩がえしの対象となり、父母のほかに師長(先生や年長者)も含まれます。第二の「衆生恩」は、共に生きている存在全部の恩ということです。人は 支え合って生きています。知らない人からも、いや地球上のすべての存在に支えられて生きています。だから私たちは、生きとし生けるものへの恩がえしが必要なのです。第三の「国王恩」というのは、為政者からの恩ということですね。国が平和であればこそ、私たちは幸福に暮せます。戦争が無く、国が豊かになっているのは、為政者に恵まれていればこそでしょう。第四の「三宝恩」は、もちろん仏法僧の恩です。すばらしい教えと、それを説き伝えてきてくださった方々の恩に報ずることは、何よりも大切です。今の日本には忘恩の徒がやたら増えました。感謝どころか不満だらけで、「この不満を誰にぶっつけるべきか」と真剣に悩む者さえ出ている有様です。お互いに感謝しあう暮しやすい世を築きたいものですね。

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