2024/06/07
皆さまは甘露飴を嘗めたり、川魚の甘露煮を食べたことがおありでしょう。また、昔の人はおいしい水や酒を口にした時、「かんろ、かんろ」と言って感嘆したともいいます。 ところで、この「甘露」とは、梵語「アムリタ」の漢訳語なのです。アムリタは神々の常用なさっている飲みもので、蜜のように甘く、ウットリするくらいおいしいのだそうです。そればかりでなく、これを飲むと不老不死となり、天にも昇る心地でいられるといいます。神様の飲みものですから、当然といえば当然でしょう。インドのこのお話が仏教にも受け継がれ、「甘露」は苦悩を癒し、寿命を 延ばし、幸せな毎日を約束するものとされてきました。もっとも、私たち人間 がこの甘露を実際に口にすることなど不可能ですので、仏の教えそのものが甘露に喩えられていると解すればよろしいわけです。
仏教を知り、仏の教えに沿った生き方をすれば、苦悩の無い、幸せな毎日を送れるというわけですね。そして神々のように永遠の命を生きることも可能となりましょう。甘露が、苦悩から私たちを救ってくれるということは多くの経典に記載されていますが、観音経の偈にある「甘露の法雨を?いで煩悩の炎を滅除す」という句は、特に有名ですね。
また、「甘露門」という甘露のことを専門に説いているお経もあることを、皆さまはご存知でしょうか。禅宗でよく読まれるお経ですが、このお経には悩 み苦しむものを天上界へ送り、成仏させることがよく出ております。甘露に名を借りた飲食物を口にしたら、本当の甘露の意味を思い出し、仏さ まから戴いている甘露の法味にこそ、感嘆したいものです。
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