2024/07/19
清水舞台
京都東山の中腹に、山の自然と調和して美しく映えている大きなお寺があります。このお寺は山の斜面にくっつくようにして建てられているため、本堂 床下の脚は崖下深く延び、その舞台に立って下を見ると、思わず足がすくんでしまいます。これが有名な清水寺ですね。
清水寺は、坂上田村麻呂の創建になる古いお寺で、現在の本堂は徳川家光が 再建したものだそうですが、そんな昔に、よくもまあこのようなすごい建物を造ったものです。
ところで、重大な決心をして新たな事に当たることを、「清水の舞台から飛び降りるつもりで・・・」といいます。そうです。落ちるのではなく、飛び降りるのです。落ちたら死んでしまいそうな所へ飛び降りるのです。
私は以前、屋根の雪おろしをしていて、足を滑らせたことがあります。高い屋根の、しかもぐし附近にいましたので、「このまま落ちたら死んでしまう」という考えが一瞬頭を過りました。私は滑りながら瞬間的に飛び降りる決心をし、姿勢を直して、安全と思われる所をめがけ、思い切り足を踏んばったのです。幸いに飛び降りた所は池の上でしたので、首の辺りまで雪に埋まったものの、怪我一つしないで助かることができました。
上記の例は、単なる突発事故における一瞬の判断ですが、人生のある場面では、「死んでもともとだ。やってみよう」といった大決心の必要な時があります。昔は大願を成就させるために、わざわざ高い所から飛び降りる習慣があったそうですが、精神的に飛び降りることこそ大切です。あらゆる執着を瞬時に離し、命懸けで事に当たる。身命を惜しんでいては、かえって生ききれない時があることを知りましょう。いまが清水の舞台から飛び降りる時なのかもしれません。
飛びこんだ力で浮かぶかえるかな(川柳)
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