愚 痴

2024/08/09

「愚痴を言う」とか「つい愚痴になる」などと使う「愚痴」ですが、国語辞典を引いてみると、<愚かで物の道理がわからず、言っても甲斐のないことを言って嘆くこと>と出ていました。
 ところで皆さまは、人間にも毒蛇と同じように毒がある!と申し上げたらびっくりされるでしょうか。「愚痴」とは、お釈迦さまの説かれた<人間の持つ三つの毒>の、つちの一つなのです。
 あとの二つは「貪欲(どんよく)」と「瞋恚(しんい)」で、貪欲とは、やたらと物を欲しがること、瞋恚とは、恨み怒ることです。人間の体の中には、この三種の毒が常に貯蔵され、いつも出番を待っているというのです。
 蜂は毒針で人を刺すと、刺した蜂自身も、その後生きてゆくのがむずかしくなるのだそうですが、人間の毒針はもっと強力ですから、ひとたびこの毒を出すと、相手を苦しめるのみならず、毒を出した人間自身も自分の毒のためにやられてしまうのです。
 人間の毒は煩悩の炎を発し、やがては自分自身を焼き尽してしまいます。仏教入門の第一歩は、修道の過程でこの三毒を滅することですが、生命力に直結する貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)の三毒は、そうたやすくは無くなりません。滅することができなかったら、せめてよくお守をして、毒袋の中に閉じこめておくことならできるかもしれませんね。
 愚かな人と賢い人との違いは、自分が持つこの三毒に気づくか気づかないかにあります。愚かな人は三毒ゆえに悪に走り、しかもその罪を知らず、それをやめようとせず、罪を知らされるのをいやがるといいます。自分に示された他人の親切に感謝し、よく懺悔して、たった一度の人生を賢く生きたいものです。

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