そなえもの

2024/08/16

さて、これらの漢字に振り仮名をつける問題が出されたら、正解を出せるで しょうか。仏教の読み方では「供」を呉音で「く」と読みますから、それぞれ「くよう、くきゅう、くもつ」となります。このうち「共給」だけは一般化して「需要」の対語にもなり、読み方も「きょうきゅう」と漢音になったようです。
 ここでこれらの語の本来の使い方をご紹介しておきましょう。元々「供養」とは、お坊さんに食物を施すことであり、「供給」とは物資を与え、奉仕することを指しました。そしてこれらの食物や物資を「供物」と呼んだわけです。
 それが時代とともに語句の解釈が変わり、供養にたくさんの別の意味が考えられるとともに、供給や供物という語は仏教外でも頻繁に使われるようになつ たと考えられます。 ところで、いまなお仏教語として健在の「供養」についてですが、普通には仏さまや先祖の霊に、身(からだ)・口(くち)・意(こころ)の三方法をもって供物をささげることを言います。しかし初期の仏教では「四(し)事(じ)供養(くよう)」といいまして、
①飲食 ②衣服 ③臥具 ④湯薬を衆僧に供えること
 でありました。いわゆる衣食住と薬の施与ですね。ただし後には財・法の二種をいったり、恭敬(くぎよう)・讃歎(さんだん)・礼拝(らいはい)のような精神的な要素をも供養と言うようになり、供え物はもちろん、仏事に関することは、何でも供養としてかたずけ ることになったようです。    そのせいでしょうか、「仏の供養ですから皆さま賑やかに飲んでください」などと、分かったような分からないような挨拶がされるのも、現代ならではの ことでありましょう。
 いずれにしましても、供養の気持ちで何かをするということが大切ですね。何でも自分中心に考え、自分の所に寄せ集めて、人のことを思いやる気のない人が多くなった現代、この捧げもの、施しものをしようとする心を涵養する ことが大切だとは言えないでしょうか。

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