説教台

2024/10/11

高座・上座
 「高座」というと、すぐ落語家の座る高座を連想しますが、高座に登るのは本来は僧侶なんです。
 僧侶が説法・説戒・講経などをする時、一般の座席よりも一段高い所に座を設けますが、これは皆に顔がよく見えるように、話がよく聞こえるようにとの配慮からです。これが本来の「高座」です。その場合、説教が理解されやすいように、また少しでも聴衆の興味をひくようにとの配慮から、方便としておもしろおかしい話をすることもありますので、「高座から どっと笑わせ なんまいだ」という状況もめずらしくないようになりました。これが落語の源流だといわれています。
 高座を設けて談義をする人が、僧侶から芸人へと変わってしまったわけですが、一方、お寺では今でも「高座」を、その本来の意味で使っていることを知っておいてください。
 次に「上座」とは、「うわざ」とも「かみざ」とも言われ、上位の座席のことです。高座と違い物理的な高さはありませんが、教団内の指導的地位にある年長の僧侶が「上座」と呼ばれてここに座ります。仏教教団には人種や階級等の差別は一切ありませんが、出家してからの年数による法臈(ほうろう)順があり、今でも法臈の上の僧から順に上座に座ることになっております。
 これが一般家庭でのこととなると、床の間や囲炉裏を基準に、奥の方の座を上座と言い、主人以外はあまり上座に座るものではないとされてきました。ところが僧侶が訪れた場合には、主人は下におりて僧侶が上座に上がるのが普通 でした。そこで「猫・馬鹿・坊主」という坊主の高上がりを揶揄した言葉が生まれたのでしょうが、そう言われながらも、高座・上座に座るべきものと容認されてきたのが坊さんです。
 したがって僧侶たるもの、それに相応しい品位を保たなければなりません。これは、一般社会において高座・上座に座る人にも、ぜひ心してほしいと願う次第です。

 

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