2024/11/29
「ご馳走さま」という言葉は、食事のときの挨拶として使われておりますが、その字を考えると、どうしてそんな用法になったのか首を傾げたくなりませんか。
「馳走」とは、車馬を疾く駅け走らせるとか、年月が走るように過ぎ去るという意味ですね。古文書に出てくる「馳走」は、だいたいそのような意味で使われています。これが、人をもてなす意味に用いられるようになったのは、日本だけの、それもかなり時代が下がってからのことらしいのです。
もちろん、食事を用意するためには、材料を求めたり煮炊をするためにかけまわることから、それが食事などのもてなしの意に変化したのでしょうが、そんな意味に変化させてしまつた日本人の心を考えてみましょう。
お坊さんは食事の時にお唱え言をしますが、その「五観の偈」の第一に「功の多少を計り、彼の来処を量る」という文句があります。これは、「多くのお かげを思い、感謝していただきます」と現代風に言いかえられていますが、この心が「ご馳走さま」の心なのです。
ご馳走さまだけではなく、お世話さま、ご苦労さまなど、日常よく耳にする挨拶言葉は、その多くが相手の立場に立って、その労をねぎらい感謝する言葉 です。日本人の美しい言葉としては、まず「ありがとう」が第一にあげられ るそうですが、「ご馳走さま」「お世話さま」「ご苦労さま」等も、それに劣ら ず美しい言葉だと言えましょう。
自分が多くのおかげをいただき、生かされている。だからそれらに感謝せずにいられない。こういう日本人の生き方を大切にしたいものですね。感謝の言葉には、きっと美しい花が咲いてゆくことでしょう。
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