2025/01/24
自愛・慈愛・慈父・慈母
手紙などによく書かれる「くれぐれも御自愛下さい」という文面があります。これはもちろん相手の健康を気遣ってのことですが、この「自愛」とは何でしょうか。どうも健康のことだけではないようです。
私たちには、「誰よりも何よりも自分を愛おしむ」という本能が身に付い おります。自分が殺されそうになったら、相手を殺してでも自分を助けようと します。自分を害してまで他の物事を大切にしようという人はまずいないでしよう。もし、自分より他をとる人がいらっしやれば、称賛すべき美しい心の持ち主だといえます。だから、わざわざ「御自愛ください」などと言わなくてもよいはずですが、この言葉には、「あなたは自分をさておいてまで、人に尽くす方ですから…」という褒め言葉が、裏に隠れていると取っておきましよう。そして、そのお言葉に従って自愛しながら、さらに人に尽くしたいものと念じればよいのです。
仏さまは、「自愛」より「慈愛」をとる方でいらっしやいます。皆さまよ自分よりも愛おしい相手、その人のためならば自分の命など惜しくないよう なそんな相手をもつていらつしやいますでしょうか。たとえば、親ことっての子供がそんな存在になり得ますね。「慈愛」とは、ちょうど親が自分の子供に対して持つような深い愛のことをいいます。「慈しみ愛する」ことより深い愛はないでしょう。
また 慈愛に満ちた父を「慈父」と言いますが、慈父とは、まさに仏の異名にほかなりません。さらに、「慈母」といえば慈母観音などの菩薩さまを想起なさる方が多いでしょう。肉親の父母が大切なことは、父母恩重経にも説かれていますが、人生を導いてくださる慈父・慈母たる仏・菩薩にも、感謝の誠を捧げていきたいものです。
仏の国を支えてきた方々の不惜身命のお話は、枚挙に暇がありません。私たちも先人に見習い、この身命をいたずらに費やすことなく、有効に使ってゆくことを心がけたいものです。
お問い合わせやご質問等についてはこちらよりお願いいたします。
また、毎月の鬼子母神講(毎月8日 午後7時)や七面さま講(毎月18時 午後2時~)へのご参加も
心よりお待ちしております。
日蓮宗 妙栄山 法典寺
〒418-0023 静岡県富士宮市山本371-1
Tel.0544-66-8800
Fax.0544-66-8550