2025/08/08
<世界に平和を!>とか、<あの人と私は所詮住む世界が違う>とか使われる「世界」という語は生粋の仏教語で、「ローカダートウ」という梵語を中国人が世界と意訳したものです。
「ローカ」とは世間のことで、「ダートウ」は成分のことですから、果てしなく移り変わるものと宇宙空間の構成要素が合成されたもの、つまり時間と空間とが交差しているところ、ということになりましょうか。
「世」を時間、「界」を空間と見た場合、世には過去世・現在世・未来世の三世が挙げられ、界には四方・四維・上下の十方界が挙げられます。
世界とは、とにかく途方も無く大きな範囲を表す言葉で、しかもその世界の 数が無限にあることになります。たとえば三千大千世界という語があります が、これは千の小世界、千の中世界、千の大世界を乗じた十億もの世界があるということです。この場合の十億とはもちろん無限と同義です。
つまり、私たちの住むこの娑婆世界は、無量無辺百千万億阿僧祇というたくさんの世界の中の最果てにある、吹けば飛ぶような小さな世界です。そのような小さな娑婆世界の、そのまた一部分の人間世界で、さらに小さな自分だけの世界にひきこもって悩んだり、苦しんだり、争ったりしているのが私たちというわけです。
そんな世界から脱け出てしまいましょう、というのが仏の教えるところなのです。脱け出すことを解脱と言います。ほかにもっとすばらしい世界があるのです。特に仏さまの世界は清らかで美しい世界だと言えましょう。
自分がいま、どんな世界に住んでいるのかを振り返ってみましょう。どんな世界に住むかは心次第です。自分という煩悩に縛られた暗く悩める世界にしばし別れを告げ、すばらしい世界に目を向けてみたいものです。
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