選択

2025/10/03

高校や大学では、必修科目のほかに選択科目があり、自分の興味や関心に応じて学びを深めることができます。試験でも、複数の選択肢から正解を選ぶ形式が一般的で、最近ではクイズ番組などでも二択・三択が人気を集めています。
 このように、私たちの生活の中で頻繁に使われる「選択」という言葉。実はこの語は、仏教においても非常に重要な意味を持つ言葉であり、「せんちゃく」と読み、深い宗教的意義を含んでいます。
 浄土宗や浄土真宗において重視される阿弥陀如来の教えは、「他力本願」の思想に基づいています。これは、自分の修行や努力によってではなく、阿弥陀仏の誓願によって救われるという考え方です。阿弥陀さまは、すべての人々を救うために、数ある教えの中から最もすぐれた教えを「選択」し、それを本願として立てられました。この「選択本願」の精神こそが、私たちにとっての救いの道となるのです。
 一方、釈迦牟尼仏の教えは「自力修行」に重きを置いています。原始仏教や上座部仏教では、八正道や四諦に基づき、自らの努力によって煩悩を断ち、悟りを開くことが説かれています。
 八正道とは、正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定の八つの実践項目であり、これらを選び取って生きることが、解脱への道となるのです。
 現代に生きる私たちもまた、日々の暮らしの中で何を選び、どう生きるかを問われています。阿弥陀さまのように、すぐれた教えを選び取り、それを自らの願いとして生きることができれば、まさに幸甚の極みではないでしょうか。
 仏の教えを「選択」するということは、単なる知識の選び取りではなく、人生そのものをどう生きるかという根本的な問いへの答えでもあります。
 「選択」という言葉は、現代の教育や娯楽の中にも溶け込んでいますが、その根底には仏教的な深い智慧が息づいています。 私たちが何を選び、どう生きるか・・・その一つひとつの選択が、仏の教えとつながっているのです。ありがたいことですね。

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