尊敬すること

2025/11/14

就職試験の面接では、「あなたの尊敬する人は誰ですか」と、よく質問され るそうです。そして受験生の多くは「父です」とか「母です」と答えるように指導されているそうです。これは、会社の創業者なり経営者なりの理念に合わ ないような著名人の名を挙げると大変ですから、当たり障りのない無難な答えをするように、ということなの力もしれません
しかし考えようによっては、就職するほどの年齢になってもまだ親を尊敬して八るというのは、幼稚過ぎるといえるのかもしれません。小さな子供なら父母を絶対的に尊敬し頼ることによって安心を得ることができますが、成長するにつれて、父母以外に尊敬する者のあることを知っていきます。父母にはさらに父母があり、その先に数えきれないほどの先祖があるということ、先祖達が積み上げてきた歴史の中には、古来さまざまな尊敬すべき人々がいるということ、あるいはまた、先祖のその先には神仏があるということなどを、年齢を重ねながら覚えていくからです。これを簡単に言えば、「親を見るものは先祖 を見る。先祖を見るものは仏を見る」となります。
 私たちは年齢とともに、順次見える範囲を広げ、大きな人間へと成長していかなければなりません。ただし以上のことを踏まえた上で、なお自分の両親を尊敬に値する人だと思えたら、それはそれで、何とすばらしいことでしょう。
 ところで「尊敬」という語は、経典中では<ソンギヨウ>と読まれることが多く、字の通り尊び敬うことを指します。仏教で尊敬すべきものは、もちろん仏さまですね。就職試験で、「私の尊敬する人はお釈迦さまです」と答える 若者がいたら拍手したい気がします。また「尊重」は一般には<ソンチョウ> という読みで、人間以外の事柄に使われているようですが、これも<ソンジュウ>と発音されてきた仏教語です。意味は尊敬し重んずることですね。
 私たちの尊重するものは仏・宝・僧の三宝です。これらを尊重すれば自然に 敬虔な宗教的行為が伴い、礼拝という動作が出るというものです。ぜひ尊敬 尊重の心を起こして生きたいものです。

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